宇宙航行・探査工学研究室
(高尾研究室)

Research

Trajectory Optimization

Trajectory Optimization

月・惑星や小惑星の探査に向けた軌道最適化の研究を行っています。消費推薬の最小化、飛行時間の最小化など、様々な評価関数に基づく最適な飛行経路を定めます。惑星による重力アシスト(スイングバイ)を用いた効率的な軌道遷移や、太陽・地球・月の重力が複合的に作用する複雑系の解析など、「軌道設計」が介在する多様な問題に取り組んでいます。古典的な化学推進に加えて、電気推進、ソーラーセイル、およびそれらのハイブリッド推進など、多岐に渡る宇宙推進を対象とした軌道設計法を開発しています。最適制御による理論的アプローチや、進化的アルゴリズムを用いた大規模コンピューティングのほか、近年ではDeep Learningや生成AIなどの機械学習を導入した最先端の手法についても研究を進めています。これらの研究成果を用いて、実際に様々なミッションのシナリオ設計を行っています

Orbital Mechanics around Small Bodies

Orbital Mechanics around Small Bodies

小惑星や彗星などの総称である小天体(Small Bodies)は、月や惑星に比べて重力が非常に小さく、かつ歪な形状に起因する不均一な重力場を持ちます。さらに、小天体の近傍を飛行する物体は、太陽光(Photon)の照射に伴い生じる圧力(太陽光圧)の影響も強く受け、結果としてケプラーの法則から逸脱する複雑な挙動を示します。小天体近傍では、このダイナミクスの複雑さゆえに、まだ存在すらも知られていない軌道が無数に存在します。ASELでは、こうした未知の軌道力学の解明や、周回・離着陸に向けた誘導・航法・制御(GNC)の研究を行っています。さらに、後述する軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle: OTV)を用いて、多数の超小型衛星を小天体へ輸送・分離し衛星コンステレーションを構築するという、世界初となる提案も行っています。本研究は、小惑星探査機はやぶさ2や、その後継ミッションとして検討中の次世代小天体サンプルリターン構想とも関連しています。

Solar Sail Actuators

Solar Sail Actuators

超小型ソーラーセイル向けの新型アクチュエータの開発を進めています。超小型衛星の標準規格である1U (10×10×10 cm3)の構体に、直径1〜数メートルのソーラーセイルを折りたたみ収納し、スピンによる遠心力で展開します。内力アクチュエータを用いたソーラーセイルの形態変化によって、太陽光圧の作用を動的に変化させ、軌道・姿勢運動の同時制御を実現します。さらに、薄膜太陽電池およびソーラーセイル膜に成型したループアンテナといった最新技術を統合することで、推進剤を必要とせず飛行制御・発電・通信を一挙にこなす多機能デバイスとして昇華します。

Orbital Transfer Vehicles

Orbital Transfer Vehicles

宇宙輸送といえば、多くの場合はロケットを用いた地上から宇宙への輸送を指してきました。一方、近年では、低軌道、静止軌道、月周回軌道など、宇宙空間における軌道と軌道の間を繋ぐ軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle: OTV)の研究開発が世界的に活発化しています。人員、物資、燃料、さらには独立した宇宙機などを様々な軌道へ送り届けることで、宇宙空間を自在に移動・利用できる未来が期待されています。また、JAXA宇宙科学研究所を中心に、火星や小天体などの様々な天体へ探査機・観測機器を輸送する深宇宙軌道間輸送機(Deep-Space Orbital Transfer Vehicle: DSOTV)の研究開発を世界に先駆けて進めています。ASELでは、JAXAをはじめ多くの企業・大学とも連携しつつ、OTVに関する幅広い研究を推進しています。特に、広大な宇宙空間に輸送ネットワークを築くための軌道設計や、輸送能力が最大となる宇宙機構成を数理的に導く設計最適化など、アカデミアならではの学術的アプローチに取り組んでいます。