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HELIOS-Rの軌道上実験に成功しました。
高尾准教授が開発を務めた、発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物HELIOS-Rが、軌道上実験に成功しました。HELIOS-Rは、その名の通り、薄膜太陽電池や平面アンテナを搭載した膜展開構造物です。HELIOS-Rは、日本の伝統文化である折り紙の技術を用いて、打ち上げ時には非常にコンパクトに折りたたまれています。そしてひとたび軌道上に到達すれば、超軽量で大面積の構造物を展開することができます。HELIOS-Rは、200 W/kgに至る世界最軽量の太陽電池パドル、アレーアンテナを用いた電波干渉計、そして第5世代アンテナを用いたビームフォーミングなどの技術実証を行います。
HELIOSプロジェクトは、革新的衛星技術実証プログラムの実証テーマに採択され、2020年に立ち上がりました。当時JAXAの研究員だった高尾准教授は、HELIOSのシステム設計、開発、各種試験、および運用設計などの全プロセスを、中核メンバーの一人として推進してきました。HELIOS-Rの前身であるHELIOSは、革新衛星3号機に搭載され、2022年10月12日に内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられました。しかし、イプシロンロケット6号機の打ち上げ失敗により、軌道投入には至りませんでした。
その後、革新衛星4号機による再チャレンジが決まり、そこに搭載されたのが、新しく生まれ変わったHELIOS-Rです。HELIOS-Rを載せた革新衛星4号機は、2025年12月14日にニュージーランドから打ち上げられ、無事に軌道投入に成功しました。その後HELIOS-Rは、軌道上での膜展開実験を始めとして、これまでの運用でほぼ全てのフルサクセスを達成しました。高尾准教授は、HELIOS-Rが再チャレンジミッションとして始動した直後に九州大学へ、そして2025年4月からは横浜国立大学に異動しましたが、現在も遠隔で一部の運用や解析を担当しています。
HELIOS/HELIOS-Rは、JAXA宇宙科学研究所、JAXA宇宙探査イノベーションハブ、サカセ・アドテック株式会社、東京科学大学、防衛大学校が共同で開発しました。
- Matsushita, M., Takao, Y., Kusumoto, T., Sugihara, A. K., Mori, O. Watanabe, A., Nakamura, K., Ohira, G., Fujita, M., Sugiura, K., Ikeda, K., Fujita, A., Yamada, S., Yamakawa, M., Satou, Y., Miyazaki, Y., Toyota, H., Nakamura, T., Okuizumi, N., Takeda, S., Moritani, M., Sakamoto, H., Shirane, A., and Okada, K., Development of a Lightweight Membrane Deployment Structure with Power Generation and Antenna Functions, HELIOS, Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan, Vol. 23, Dec. 2025, pp. 49-58. https://doi.org/10.2322/tastj.23.49
- 松下将典, 中川雄登, 大木春仁, 鶴谷柊朔, 高尾勇輝, 杉原アフマッド清志, 森治, 楠本哲也, 渡邊秋人, 堀利行, 伊藤裕明ほか, 発電・アンテナ機能を有する軽量膜展開構造物HELIOS-Rの開発と運用準備状況, 第68回宇宙科学技術連合講演会, 1L18, 姫路, 2024年11月.
2026/03/31